発生日:2003年6月5日



被害者:26歳のフリーランスのイタリア語講師

     高知県出身で、2001年から同地のマンションに

     一人暮らしだった。

     当日は0時頃に帰宅後、何らかの事情で化粧もせずに

     外出。その帰路、犯人に後をつけられ被害にあった。



犯人 :21歳住所不定無職の男

     九州から大阪に移り、不遇で自堕落な日々を過ごし

     鬱積したものを被害者にぶつけた。

     犯行直後は、何とか逃れようと、自殺に見せるために

     ベルトで締めなおしたり、被害者の携帯でメールを打ったり

     と姑息な隠蔽工作を
行う。しかし、裁判では一転、泣きながら

     自ら死刑を望んだ。




     判決は無期懲役。上告しなかったため確定した。



事件概要

 男は、いら立っていた。

 新大阪に程近いその場所は、夜中でも結構騒がしかった。行き交う人々を避けながら、男は行く当ても無く、狭い歩道を歩いていた。

 大阪までくれば運は向いてくるのではないかと思っていた。しかし、現実は厳しく、男に待っていたのは日雇いで働き、ドヤ街で過ごすそのような日々だった。ましてや、数日仕事にありつけない日が続くと、今夜のように泊まるところもない状態に追い込まれた。

「九州に帰ろうか」

男はそう思い、空を見上げた。大阪の空は相変わらず夜中でも、気味悪く薄明るい。故郷に帰れば仕事があるわけではない。むしろ、無いからこんな気味悪い空の町に迷い込んだのだ。男は行き所の無い怒りにいら立ちを募らせた。



 そんな時だった、男は右肩に軽い衝撃を感じた。女だった。狭い歩道で立ち止まっていた男に、女がぶつかったのだ。男の方に軽く頭を下げて、何事も無かったように歩き去る女。

「馬鹿にしやがって」

男はそう思いながら、女を目で追った。しかし、男には別の思いが沸きあがっていた。ぶつかった時に感じた、女の柔らかい肉体の感触が、男の別の部分を刺激していたのだ。

 コンビニに買い物にでも出たのだろう。白いTシャツにジーパンのみのラフな格好で歩く女の、Tシャツを押し上げる胸のふくらみは、男を吸い付けるような誘惑に満ちていた。路地裏へと曲がった女は、近くのマンションへと入っていく。男は思わず女の後を追った。玄関からマンションを覗くと、女はエレベーターに乗り込むところだった。マンションは4階建てだ。階段でも追いつけると考えた男は、エレベーターを確認しながら階段を駆け登った。女は4階で降りたようだ。男は階段の壁に身を潜め、廊下の女の気配を探りながら機会をうかがった。ラッキーだといえるだろう。男は欲望と期待に胸を焼きながら、そう思っていた。女の部屋は階段のすぐ左側にある角部屋だった。つまり隣の部屋は片側にしか無く、さらにその隣の部屋も空き部屋のようだった。階段から廊下を覗き見">覗き見ると、鍵を取り出す女の後ろ姿が見えた。デニムの生地を押し上げる女の丸い尻が、男を誘っているかのように揺れていた。

「もう後戻りはできない」

男は自分のズボンを押し上げる肉棒を抑えることができない自分を感じていた。女が鍵を開け、扉を開いたとき、男は階段から飛び出すと、後ろから女を部屋の中に突き飛ばし、自分も女の部屋に押し入った。

「きゃっ」

悲鳴をあげて倒れこむ女。男は、ポケットに入っていたカッターを取り出すと、女の顔に突きつけた。

「静かにしろ、騒ぐとぶっ殺すぞ」

恐怖に顔を引きつらせ、必死にうなずく女。

「金が無いんだ金を出せよ」

財布を差し出す女。たいして入っていない。

「現金は銀行にあるの」

不満を言う男に、女は泣きながら命乞いをした。男は、女のそんな言葉は聞いていなかった。男は、目の前で揺れる女の乳房を早くもてあそびたくて仕方なかった。男は女を立ち上がらせると、部屋の奥へと連れて行った。奥の和室には布団が引いてあった。男は、布団の上に女を押し倒した。

「やめて、何するの」

男から逃れようと、必死に手をばたつかせる女。男は、女の上にのしかかると、女の顔を殴りつけた。

「うるさい。殺されたいのか。金が無いなら身体で支払ってくれよ。」

悲鳴をあげることも忘れ、呆然と男を見つめる女。綺麗な女だった。多分男より年上だろう。パッチリとした目鼻立ちは、大人の女性の成熟した魅力に溢れていた。そして、何よりこの身体だ。女の柔らかそうな身体からは、むせ返るような女の香りがあふれ出していた。

 男は、女のTシャツを押し上げると、その白い肌にしゃぶりついた。

「いや、はなして」

恐怖から、弱々しい声で抵抗する女。Tシャツの下は、白いブラジャーだった。花柄の刺繍の入ったブラジャーをカッターで切り裂き、女の身体から剥ぎ取った。こぼれる白い乳房と、その先についた赤い乳首。男は夢中でその豊かな乳房を撫で回し、そしてしゃぶりついた。

「やめて」

嫌悪にゆがむ顔もまた美しかった。こんなに綺麗な女を抱くことなどもう一生無いだろう。男はそう思うと、早く入れたくなったので、乱暴に女のジーパンを脱がし始めた。白い下着に包まれた女の下半身がむき出しになっていく。男はもう一刻の余裕もないほどに興奮していた。男は泣きじゃくる女の下着を剥ぎ取ると、膨張しきった自分の肉棒を取り出すと、女の股間に突き刺した。

「ああああ、やだ、やだ」

最高だった。生暖かい女の肉を感じながら、男は自分の肉棒を奥へ奥へと突き立てた。男の肉棒に突き上げられ揺れる女の身体は、本当にいい臭いがした。男は恍惚とした気分に、全てを忘れ、女をただ突き続けた。やがて、痺れとともに吐き出される男の欲望。男は女の肉の奥深くに自分の精液を吐き出した。



「絶対、訴えてやる」

女の中に射精した後も、名残惜しむようにその身体をまさぐっていた男に、女の罵声が浴びせられた。男に中だしされたことへの、絶望と怒りが女を逆に大胆にしたようだった。先ほどまで治まっていた男のいら立ちが、再び湧き上がってくるのを男は感じた。

「私、泣き寝入りなんかしないから」

先ほどまで震えていた女は、今では男を睨みつけている。

「ちょっと、放しなさいよ、いつまで触ってるのよ…」

女の罵声が途中でとまった。もがき男の手を払いのけようと、振り回される女の手。男は女の首を夢中で締め上げていた。

「うるさい。うるさくしたら殺すって言っただろう」

男は、そうつぶやきながら布団の上で女の首を全力で締め上げた。

やがて、女は動かなくなっていた。