先週末、ちょっと街に買い物に行きました。
秋っぽいリップが欲しくて、デパートに行ったのです。
店員さんの説明を聞きながら、いろいろ試してみます。
そのときに対応してくれた店員さんなのですが・・・化粧品売場の店員さんですから当たり前ですが、メイクは完璧です。
女の私から見てもとても綺麗で、素敵な印象の女性でした。
気に入ったリップを買ってデパートを出ました。
歩きながら意味もなく考えていました。
あんなに外見を整えていたけれど、仕事とはいえ大変だろうな。。。
ずっと微笑みを浮かべていたけど、疲れるだろうな。。。
仕事用に本当の自分を偽って、あるべき姿を装う・・・社会人であれば誰しも当り前の
ことです。-----私もそうです。
他の人が皆そうであるのと同じように、仕事の場では自分の感情を押し殺さざるをえません。
本当はいやなことでも、やるべきことは笑顔でやらなければなりません。
たとえ疲れていても、会社ではそれを表面に出すこともできません。
自分を偽り、自分を装って自らの務めを果たす・・・こんなこと、繰り返して書くまでもなく社会人なら当然のことです。
ただ、ときどき虚しくなることがあります。
それは、きっと私の性格によるところが大きいんだと思っています。
自分で言うのもおこがましいですが、私は根がまじめで几帳面な性格の人間です。
職場でまじめな分、プライベートではだらしなくできればいいのに、なかなかそれができません。
良く言えば『おとなしくて慎重派』ですが、言い換えれば『自分の殻を打ち破ることのできない臆病な性格』でもあるのです。
ちゃらちゃらした子を見ては、私もああいうふうにできたらいいのにと、羨ましく思ってしまいます。
けっきょく私は『私』であって、他の何者でもありません。
几帳面な私が、まじめな自分自身を裏切ることはできないのです。
そんな私にも、地味な日常から抜け出して興奮する瞬間があります。
思いっきり恥ずかしい思いをすることで、他に代え難い興奮を得ることがあるのです。
日常のまじめな『私』に恥をかかせて、そのギャップに自分自身で快感を覚えるような経験を、過去に何度となく体験してきています。
あの人も、仕事が終われば何かで発散するのかなあの店員さんのことを思いだします。
とりとめないことを『ぼーっ』と考えながら、街を歩いていました。
やっちゃおうかな。。。
そんな感じの気分でした。
そして、一度そんなふうに思いはじめると、もう抑えられなくなりました。
久しぶりにあの興奮に身を焦がしたくなってきます。
とは言っても、街中を歩いている今の私には、何の計画もイメージもありません。
アーケード街の最後のところに、そのジーンズショップはありました。
ただ目についたというだけで、足の向くままに入っていました。
チェーン店のカジュアルなジーンズショップです。
ひと通り店内を一周します。
試着室の様子を確認しようと思ったのです。
奥に細長いつくりのお店です。
そのお店のいちばん奥のほうに、試着室が並んでいました。
それぞれの個室の入口はカーテン式のタイプです。
店員さんに断ることなく、完全セルフサービスで勝手に使っていいようです。
目に留まった限りでは、店員さんは人しかいないようでした。
人とも店の中ほどにあるレジブースの中で何か作業をしています。
女性用のジーンズのコーナーに行きます。
適当にひとつ選んで、手に取りました。
試着室に向かいます。
思いたってこの店に入ってからここまで、ほとんど何も考えていませんでした。
なんとかシチュエーションをつくろうと『行き当たりばったり』で行動していた感じです。
試着室の個室は、壁の形に沿うようにデコボコとつ並んでいます。
真ん中の個室だけ使用中でした。
その前には女性用のサンダルが揃えて置かれていて、大学生ぐらいの男の子が所在無い感じで立っています。
・・・きっとカップルなのでしょう。
商品の棚がたくさん置かれている店ですので、試着室の前とはいってもそれほどのスナースはありません。
通してもらおうと、赤いネルシャツにチノパン姿のその男の子にちょっと会釈します。
私を奥へ通そうと歩下がってくれた『ネルシャツ君』の前をすり抜けて、隣の個室の前に行きます。
パンプスを脱いで、中に入りました。
カーテンを中からきちんと閉めます。
気持ちだけが急いていました。
『何かしなきゃ』と焦ります。
行き当たりばったりですから、多くを望める状況ではありません。
今のシチュエーションでできることを考えるしかありません。
あの男の子に見せるカップルで来ている男の子ですから、ちょっと難しい気がします。
いっしょにいる『彼女サン』に申し訳ない気持ちもあります。
次のチャンスを待ついずれにしても怪しまれないようにと、とりあえず持ってきたジーンズを手に取ります。
買う気もないジーンズの試着をしながら、どうしよう何ができるやり過ごす考えていました。
「シャッ、シャーッ」隣の個室のカーテンが開く音が聞こえました。
「どう」「さっきのほうがいい」ふたりのそんな会話が聞こえてきます。
「シャーッ」・・・私もカーテンを開けました。
『ネル君』が反射的に、チラッと私のほうを見ました。
カーテンを開ききった瞬間に、私と一瞬目が合いましたが、お互いにすぐそらします。
「後ろ向いてみ」「うん」彼らの会話を耳にしながら、私は自分のパンプスに足を入れます。
個室の外に出ました。
個室の外に立ったまま、個室内の鏡に向かって自分の姿を映します。
靴をはいた状態のシルエットを確認しているような演技をしたのです。
前を向いたり後ろを向いたりして、いろいろな角度から自分の姿を鏡に映します。
ジーンズはテーパードのスキニーで、あまり私の好みではありませんでした。
「シャ、シャッ」彼女サンの個室のカーテンが閉じられます。
ネル君が、そこから離れるように?歩後ろに下がりました。
小物の棚のところを背にして立っています。
またも所在無さげです。
私は、その斜め横でまだ自分の姿のチェックを続けていました。
試着室前の狭いスナースです。
ネル君は、見るともなく『ぼーっ』と、目の前にいる私を眺める感じになっています。
チャンスだ。。。
直感的にそう思いました。
自然な感じで『ふっ』とネル君のほうに顔を向けてみます。
私と目線が合うことを避けるように、彼が『さっ』と目をそらすのがわかります。
今だ。。。
ぜったい今しかない。。。
まさに『行き当たりばったり』でしたが、ためらいはありませんでした。
それよりもはるかに、強い焦りがありました。
『私に与えられた時間は短い』と感じていたからです。
ああ、やっちゃえ。。。
演技を始めていました。
文章にすると長くなってしまいますが、ここからは全部あっという間のことですので、そのつもりで読んでくださいねパンプスを脱ぎます。
試着室に上がりました。
上半身だけ振り返って、カーテンの取っ手を持ちます。
斜め後ろにいるネル君とはぐらいしか距離がありません。
近すぎて本当に『すぐそこ』という感じです。
急がなきゃわきあがる気持ちが溢れて、胸苦しくなります。
ここでわざと、カーテンをきちんと閉め損ねる『ドジな女』を演じるのです。
顔は正面の鏡のほうを見たままで、「シャッ」後ろ手にカーテンを閉めます。
腕の感覚だけが頼りでした。
最後までちゃんと閉めきらずに、さりげなく、微妙に隙間を残します。
幅は?といったところでしょうか。
いい感じです。
ネル君がぼんやり見ている前での出来事です。
私の個室のカーテンに、『偶然にも隙間ができてしまった』ことに、彼が気づかないはずがありません。
きっと、『あっ』という思いで、事態を見守っていることでしょう。
彼の場所からはぐらいの距離があります。
隙間に顔を近づけるように覗かれているわけではありません。
遠目からですので、彼から見えるのは、私の後ろ姿のほんの一部にすぎないはずです。
それでもきっと、そのわずかな隙間にちらつく試着室内の私に注目しているにちがいありません。
『このままジーンズを脱ぎ始めたら』と、一抹の期待を込めながら・・・急いでジーンズのフロントジップを外します。
やるなら早くしなければなりません。
とにかく気持ちばかりがはやります。
隣の彼女サンが着替えを終えて個室を出れば、その時点でこのシチュエーションを手放さなければならないでしょう。
『時間との勝負だ』という強い焦燥感に襲われていました。
フロントを開き、ウエストの両サイドに手をかけます。
わずかなカーテンの隙間ですが、ネル君には私がジーンズを脱ごうとしている様子がチラチラ目に入っているはずです。
おそらく私の『パンツまる出し』を期待していることでしょう。
ジーンズの内側に挿し入れた親指を、わざと下着のパンツの縁にも引っ掛けます。
躊躇はありませんでした。
ジーンズをパンツごと一気にひざのあたりまで下ろします。
ネル君にも『ジーンズを脱いだら、パンツまでいっしょに脱げちゃった』のが見えたはずです。
期待していた以上の展開に、ますます隙間を注視しているはずです。
斜め後ろの姿とはいえ、私は今、下半身まる出しです。
心臓がどきどきしました。
あ、ああ。。。
見られちゃうよ。。。
を肩幅ぐらいに開きながら、さりげなく立ち位置をずらします。
カーテンの隙間に、お尻の中央を向けました。
胸の中で、どきどきが加速します。
をもぞもぞさせながら、脱ぎかけのジーンズを『ずるずる』と、ふくらはぎまで落とします。
『いま、見知らぬ男の子の前で下半身を出している』もうその事…