S島にに行きたいと言ったのは、私の方でした。

グアムやサイパンより少しだけ遠いのですが、最近になってアメリカ軍のあいだで大評判のビーチリゾート、直行便がないので、日本人もびっくりするくらい少ない、まさに「最後の楽園」行会社の言葉をうのみにしたわけではないのですが、ちょっと遅い夏休みをここでとることには、妻もとりたてて反対はしませんでした。

結婚してもう4年にもなるのに、なかなかまとまった休みがとれなくて、海外行も新婚行いらいです。

妻は2年前、沖にいったときに買った、オレンジのビキニバックに入れながら、これまだきれるかなあーなんていってました。

当日、成田空港のカウン
ターへ行ってみると、私達の他は、50代の夫婦だけ、という、なんとも寂しいツアーでしたが、
「せっかく海外だもん。日本の人ばっかじゃ、それもいやじゃん」
という妻の言葉に、ま、それもそうだなと思いながら飛行機に乗りました。
機中、前夜の仕事のつかれもあって、うとうとしていると、妻の横にすわった、いかにもアメリカ人と言った感じの金髪の若い男が、しきりに妻に話しかけていました。

妻は笑いながら、身振り手振りで会話らしいことをしていました。

「おい、、お前英語しゃべれたっけ」

っと、からかいついでに言うと、彼女は

「ぜーんぜんわかんなかったけど、、。この人、私のこと、ハイスクールに行ってるのかって、、。10も若くみられちゃったよー」

と、妙にうれしそうでした。

妻は確かに童顔ですが、いくらなんでも高校生なんて、、
「お前それは、ナンパされてるんだよ。あんまり喜ぶなよ」

と私がいうと、やきもちやいてるーと笑って、機内食を食べ始めました。

 

S島は、最後の楽園という言葉を裏切らない、素晴らしい所でした。
私達が泊まったのは、つい半年前にできたリゾートホテルでしたが、サービスも、料理も、部屋も、文句のつけようがないほどでした。

休みをとってよかったなあ、と思っていた私は、妻の水着姿をみて、ますますその思いを深くしました。

オレンジ色のビキニを着た彼女は、結婚当よりほんのすこしだけ肉付きがよくなったとはいうものの、逆にそれがなんともいえずいろっぽくなっていました。

「日本人が多いと、ビキニなんてはずかしいからきれないけど、ここならいーよね?」
と言う妻に、私は30を越えているのに、トランクスの水着がつっぱっていまい、なかなかうつぶせから体勢をかえることができませんでした。

夜、一緒にきたご夫婦と、星空の下で食事をしているとき、奥さんのほうがしきりに、

「ほーんとかわいらしい奥さんだこと」
と繰り返し言っているのを聞いて、私もなんとなくいい気分でした。

その晩、私達は久し振りに、その、、夫婦生活をしたのですが、自分の気持ちとはうらはらに、一回だしてしまうともうだめでした。

妻は、じゃ、おやすみーっといって寝てしまいましたが、彼女はどことなく満足していなさそうでした。

 

S島に来て、二日目の夜、ご夫婦からゴルフに誘われました。
なんでも帝王と呼ばれたゴルファーが設計したコースがあって、そのコース目当てにこの島に来る人もいるほどだそうです。

私は最近接待ゴルフをはじめたばっかりでしたが、ちょうど面白くなってきたところだったので、二つ返事で、ぜひ、いっしょにと言ってしまいました。

部屋に帰って妻に、ま、心者でも気軽にまわらしてくれるらしいし、一緒にいこうよ、といったのですが、

「運動苦手なのはしってるでしょ?ま、気にしないで行って来てよ。
私はホテルの前のビーチでごろごろしてるからさ」といって着いてこようとはしませんでした。

 

次の朝、私はゴルフに向かいました。妻は、ねぼけながら、てきとーにしとくから、ごゆっくりといって、また寝てしまいました。

三番ホールのあたりでしょうか、トラブルショットでブッシュにはいった私の首筋に激痛が走りました。

「あいたたたあーー」

そらはおっきなあぶでした。
首すじはみるみるうちにはれあがり、熱さえ持ってきました。

一緒に帰ると言うご夫婦の好意をことわって、私は一人で郊外の森を抜けて、

ホテルに帰る事にして、首に冷たいタオルをあてながら、レンタカーに乗り込みました。


この島唯一の町にさしかかったところで、ずらりと並んだアクセサリーを見ている、白いノースリーブのワンピースを着た日本人の女性の姿が見えました。妻でした。

「あいつ、、ホテルからどうやってここまできたんだ?」

と不思議に思いましたが、ホテルからでているシャトルバスの時刻表を熱心に見ていた姿を思い出し、へえ、あいつ海外はじめてなのに、結構やるなあ、とへんに感心してしまいました。

車で近づき、

「おい、、、、」

と声をかけようと思ったとき、2人のアメリカ人、黒人と白人の2人組が妻に話し掛け始めました。

2人とも180センチ、、いや、下手をすると190くらいある男たちで、157センチしかない妻は、まるで子供のように見えました。

妻は困った顔で笑いながら、何か話していました。

「あいつ、、、ナンパされてるじゃないか、、」

私はすぐ出て行って、妻を連れて帰ろうと思いましたが、なにか黒いものが胸にひろがり、3人を遠くからしばらく見てみよう、、と思い始めました。

ホテルに帰ったら、ちょっと怒らなきゃ、と思ってる私の前で、外人2人は大きなアクションを付けて妻に話しつづけます。

3人が何か笑ったような様子がみえたあと、妻と男2人は、隣の建物の二階にある、喫茶店風の店にはいっていきました。

「あいつ、、。ちゃんとことわれないのか、、」

私はだんだん不安になって、車をその建物の裏につけて、こっそり店に入っていきました。

 

その店は、アメリカ本土からの観光客や、基地からあそびにきている米軍の兵士たちでいっぱいでした。

客の多くが、ウイスキーや、カクテルを昼間から飲んで、陽気に騒いでいました。
妻にきづかれないように、こそこそ見せに入り、ビ―ルをカウンターで買うと、妻と男2人が座っているテーブルへとたどりつきました。

妻の細くて白いが背中見えます。
彼女は私には全く気づいていませんでした。

男2人は、妻を挟んですわり、彼女にカクテルをとって、絶え間なく話しかけていました。
妻は男2人に挟まれて、キョロキョロしながら、わけもわからず笑っているようでした。

私は、自分でも理解できない、不思議な黒い雲が心にひろがるのをおさえることができませんでした。
あいつは、困っているだけだ、、早くたすけなきゃ、、そう思いながらもただ3人を見ていました。

 

妻は2杯目のカクテルを飲んだ後、急に陽気になったようでした。
彼女はもともと、それほどお酒はつよくないのです。

楽しそうにけらけら笑う声もだんだんと大きくなってきました。

左側に座った黒人は、妻の髪や耳を撫でまわし始め、彼女のピアスをふざけて噛んだりさえしはじめました。

右に座った金髪の白人は、グローブのような手で妻のをなでまわしはじめ、その指は、ワンピースの中に、少しづつ少しづつ入っていきました。

私は黙ってビールを飲みつづけていました。
ここでとめなければ、ここでとめなければ、と思いつつ、私は席を立つ事ができませんでした。

私はただ、必死に会話を聞き取ろうとしていました。

「ユーハブハズバンド?ノーノー、、フォゲイッツ」とか
「アイシンク
ユーハドベターチャレンジアナザー」とか
「ユーキャンゴーツヘブンウィズアス」
とかいう彼らの言葉が聞こえてくると、そのたびに妻が笑って、ノーとか、、えーとか言うのが聞こえてきます。

 

黒人はますます遠慮なく妻の耳や首筋を舐め始め、金髪の手は、ワンピースの奥の方へと消えて行きます。

妻は時折、体を振るわせながら、ストッププリーズとか、やめて、、もう、、などといっているのですが、抵抗している様子はみえませんでいた。

私の頭が混乱している時、不意に妻と男2人が立ちあがり、階段をおりて店をでました。

私はあわてておいかけましたが、外に出ると、ちょうどぼろぼろのキャデラックがどこかへむかうところでした。

私は夢中でレンタカーに乗り、その車をおいかけました。

 

ばれないように尾行する余裕はなかったのですが、運転している白人も、後ろの席で妻にまとわり付いている黒人も、それに妻も、後ろの車に気づく様子はまったくありませんでした。

バックシートでは、黒人がいよいよ遠慮なく妻の体をなでまわしはじめています。
日本人でも色が白い方の妻が、真っ黒な太い、けもののような手でいじくりまわされています。

私は、やめろ、、やめてくれ、、とつぶやきながら、キャデラックの後ろをつけていました。
車は町をでて、ホテルを通り過ぎ、郊外の森の方へと向かって行きました。

きづいてみると、そこはいくつかのログハウスが並ぶキャンプ場のようなところでした。彼らは奥まった所にあるコテージの前に車をとめ、まず白人が鍵をあけ、そのあとに黒人が妻をほとんどか…