結局、奈緒子さんは妊娠して、俺たちの前から姿を消した。
兄貴はフヌケのようになり、今では役立たずのだらしない男に落ちぶれちまった。
ふんっ、ざまあみろ、どいつもこいつも俺のこと馬鹿にしやがって、いい気味だぜ。
奈緒子さんを妊娠させた相手が俺だと知らせてやった時の、兄貴の苦悩ぶりを見て胸がすうっとしたぜ。
嫌いなんだよ俺は、正義感とか、優しさとか、ムシズが走るんだよ。
そういうの振りかざして俺に説教した罰だぜ。
ざまあみろ。
兄貴といっても血のつながりがあるわけじゃねえ。
俺のちゃんが再婚して、その相手の子供が兄貴だった。
三つ年上の兄貴は男気があって、喧嘩が強くて、がちがちの硬派で、人情があって、ほんと嫌な奴だったぜ。
そして正義の味方の女版みたいなのが、兄貴と幼なじみの奈緒子さんだった。
二人は誰もが認める恋人同士で、ほんと、仲が良かった。
奈緒子さんは俺のことを、まるで弟のように可愛がってくれた。
馬鹿で、愚図で、根性なしで、劣等感の塊だった俺を、兄貴と奈緒子さんはことあるごとに面倒見て、かばってくれた。
だけどその度に、兄貴と俺の差を見せつけられてるようで、俺は兄貴を憎んだ。
すねてヤケクソになった俺が、高校出てチンピラの舎弟になろうとした時、兄貴は必死になって止めさせようとした。
奈緒子さんも同じだった。
なんとか俺を思い止ませようと、ボロアパートで独り暮らしを始めた俺の所に訪ねて来てくれた。
「三郎太君、考え直しなさい、今なら、まだ間に合うわ」そん時の奈緒子さんの必死な表情、よく覚えてるぜ、ほんと、綺麗だった。
奈緒子さんは、兄貴がチンピラに話をつけに行くらしい、と言った。
まあチンピラとはいえ、奴らにも面子があるから、当然、ただごとでは済まない。
奈緒子さんが、俺のことを真剣に心配してくれてるのも事実だったろうけど、やっぱり、腕の骨の一、二本をへし折られる覚悟でチンピラに話をつけに行く兄貴のことが、一番心配だったんだろうな。
俺は、このチャンスを逃さなかった。
以前から、奈緒子さんの体を狙っていた。
いつもクールで正義派の奈緒子さんが、どんな濡れ方をして、どんな喘ぎ声を出して、生身の女として崩壊していくのか、俺のチンポで確かめてみたかった。
真面目になって働くことを約束するかわりに、奈緒子さんにセックスを要求した。
「ここで素っ裸になって、股を開いて見せてみろよ、セックスさせろよ」俺の言葉を聞いて、奈緒子さんは哀しそうに俺を見つめ続けていた。
思い出すとゾクゾクするぜ、あの時の奈緒子さんの思い詰めた顔。
「私が、あなたに抱かれたら、あの男達とは縁を切ってくれるのね」そう言うと、奈緒子さんは俺の前で、服を脱ぎ始めた。
二十一歳の奈緒子さんの素肌は、とても綺麗だった。
ためらいも見せずに、一気に身に着けているものを脱いでいく奈緒子さんだったがその指先は震えていた。
そこまで、自分の体を犠牲にするほどに、あの兄貴に惚れているのか、そう思うと俺はとことん兄貴に負けた気がした。
全裸になった奈緒子さんは、片手で乳房を抱くように隠し、もう片方の手を股間にそっと当て、体を恥ずかしげによじって、俺から顔をそむけていた。
決して勝つことの出来ない兄貴への憎しみと、理不尽な怒りのすべてを、俺は奈緒子さんに叩きつけた。
擦り切れた畳の上に奈緒子さんを押し倒し、その美しい体にむしゃぶりついた。
いつもクールな奈緒子さんのイメージとはかけ離れた、可愛い乳房だった。
いびつに形が変わるほど乳房をつかんで、淡い桜色に光る乳首を吸った。
奈緒子さんの唇にキスしようとすると、顔を激しく左右に振って、拒まれた。
体は許しても、唇だけは兄貴に操だてする奈緒子さんだった。
俺はそんな奈緒子さんの両足を開いた。
薄い陰毛にふちどられた奈緒子さんの陰部は、桃色で、すっきりした形だった。
陰唇を開いてそこに俺が舌を這わせると、奈緒子さんは自分の顔を両手で覆った。
あたかも少女のような恥じらいと仕草が、いつもの奈緒子さんらしくなかった。
いつも俺の前では、強い女だった奈緒子さんが、女の羞恥を全身で表していた。
俺は、ほとんど濡れていない奈緒子さんの膣に、チンポを突き立てた。
兄貴とは毎晩セックスしているはずの奈緒子さんの膣内は、狭かった。
締りがいいと言うよりも、固かった。
このオマンコで、いつも兄貴を悦ばせていたのかと思うと、俺はやり切れない嫉妬かられ、さらに凶暴に腰を使い、チンポの出し入れを繰り返した。
奈緒子さんは両手で顔を隠したまま、身をよじったり、のけぞったりしていた。
もっと深く、本格的に責めようと、奈緒子さんの両足を肩に担いだ時、俺は自分のチンポが、少し血に染まっているのに気付いた。
――奈緒子さん、生理なのか、そういえばさっき舐めた時、すこし匂いがきつかったし、肉襞の小さな溝や、クリトリスの根元に、少し恥垢が付いていたな、、、、痺れるような締め付けに酔いながら、俺はチンポを深々と埋め込み、そんな事を考えていたが、ふと、まさかという思いにとらわれた。
――まさか、嘘だろ、俺が強引に、奈緒子さんの両手を顔から引き剥がすと、奈緒子さんは泣いていた。
そして俺が深くチンポを挿入すると、奈緒子さんは明らかな苦痛の表情を見せた。
出血、固い膣内、苦痛の表情、「奈緒子さん、まさか、初めてだったのか」俺の問いかけに、奈緒子さんは顔を横にそむけ、泣きながら「もっと優しくして」と、震える声で自分が処女であることを認めた。
その瞬間、俺の背骨に快楽が突き抜け、俺は我慢できずに射精した。
奈緒子さんが処女だったなんて、俺には信じられなかった。
兄貴と奈緒子さんは幼なじみで、精神的にも深く結びついた恋人同士で、当然、肉体関係もあるものだと思っていた。
たぶん、硬派な二人のことだから、結婚するまではセックスしない約束をしていたのかも知れない。
俺は射精した快楽に全身を痺れさせながらも、自分の処女を失ってまでも、兄貴を守ろうとした奈緒子さんの愛情の深さに、やり場のない苛立ちと憎しみを覚えた。
俺はとことん兄貴に負け、そして俺はとことん人間のクズだと思った。
そんな俺には、もう、開き直るしか道はなかった。
徹底的に奈緒子さんを犯し、奈緒子さんを自分のものにするしかなかった。
「奈緒子っ、しゃぶれ」いつも強くて、優しかった奈緒子さんの名を呼び捨てにし、フェラチオさせた。
当然、その行為も初めてだった奈緒子さんのフェラチオは、下手くそだった。
ただ咥えるだけだったが、その横顔は魂を揺さぶられるほどに、綺麗だった。
そんな奈緒子さんに、あれこれ命令してフェラチオのやり方を教えるのは、たまらない快感だった。
奈緒子さんは俺の言い成りになった。
その日から毎日、奈緒子さんを俺のアパートに呼んだ。
もちろん、兄貴には内緒だった。
奈緒子さんが作ってくれた晩飯を食った後、俺は奈緒子さんを抱いた。
抱いた、と言うより、荒々しく犯した。
奈緒子さんは、後背位で貫かれるの嫌がり、騎上位になるのを恥ずかしがった。
三つ年上の美しい女を、俺はそれこそオモチャにした。
目の前で小便もさせた、イチヂジク浣腸でクソもさせた、肛門も犯した。
痛がってばかりだったセックスも、二週間目には、「あっ、あっ、」と声を出し、「あっ、いやっ、あっっ」と俺にしがみつき、気をやるようになった。
初めて奈緒子さんの悶える声を聞き、姿を見たとき、ざまあみろ、と思った。
それでも奈緒子さんは羞恥心を忘れない女だった。
必ず後背位は嫌がったし、騎上位にさせるときは恥ずかしさを訴えた。
フェラチオの時は、チンポを咥えた口元を両手で隠そうとした。
もうこの頃にはキスもさせてくれたけど、唇を合わせる時、哀しそうな顔をした。
肛門を犯すとき、きまって奈緒子さんは泣いた。
俺は、奈緒子さんが嫌がることを、好んでさせた。
兄貴と三人で食事する時なんか、隙を見て、奈緒子さんの胸を揉んだり、スカートの中に手を入れたりした。
それでも、奈緒子さんは兄貴の前で、明るい笑顔を作っていた。
兄貴がトイレに行ったり、タバコを買いに出かけたわずかの間に、フェラチオさせたり、パンティーの脇からチンポを挿入したこともあった。
そんな日の夜は、ことさら激しく奈緒子さんを責めた。
俺に抱かれて「あっっ、いくっ」とまで口にするようになった奈緒子さんに、そして兄貴に、俺はいつも心の中で、ざまあみろ、吠えていた。
「わたし、妊娠したわ」奈緒子さんにそう言われた夜、俺は初めて、兄貴に勝ったような気がした。
それがどんなに卑怯で、理屈に合わないことか、充分わかっていても、俺はこみ上げる勝利感を抑えることが出来なかった。
――ざまあみろ、兄貴、あんたの女を妊娠させてやったぜその夜、俺は嫌がる奈緒子さんを初めて縛った。
みじめで、恥ずかしい姿に縛り上げ、夜が明けるまで責めた。
この日ばかりは、奈緒子さんは俺への恨みを言葉にし、どんなに俺を嫌いぬき、どんなに俺を軽蔑しているか、ほとんど叫ぶように訴えていた。
俺は奈緒子さんを叩いた。
奈緒子さんが俺を罵倒するだびに、俺は奈緒子さんを湿らせたタオルで叩いた。
苦痛の悲鳴をあげ、それでも俺に逆らい、俺への恨みを口にする奈緒子さんを何度も叩いた。
全身を叩いた。
そして陰湿に、しつこく嬲って、何度も、絶頂に追い上げた。
奈緒子さんは、恨みの言葉の合間に、切ない女の声を出し、快楽に負けていった。
次の日から、奈緒子さんの行方がわからなくなった。
俺は奈緒子さんが妊娠し、その相手が自分だと、兄貴に告げた。
ざまあみろ、ざまあみろ、と何度も呟きながら、何故か、涙が止まらなかった。