僕には2歳年下のがいます。
これは、僕が中学1年生の頃の話です。
 気が強く裏表のない性格のに比べ、僕はあまり社交的な性格でなく、そのために僕は昔からに対して若干のコンプレックスを感じていました。
 実際、僕とはあまり仲のいいほうではなく、普段からそれほど会話もしないし、一緒に風呂に入っていたのも僕が10歳、が8歳くらいの時までのこと。
 そんなに脇毛が生えてきたことを知ったのは、が小5の時でした。
 8月の蒸し暑い晩のことです。
薄いTシャツを着たがたまたま腕を上げた時、袖の下からちらりと見えた黒い陰。
そのうっすらとした脇毛を見た時、突然の疑問が僕の脳裏に芽生えました。
 ……ここに毛が生えたってことは、あそこはどうなっているんだろう……? この頃、僕にも脇毛は生え始めていたものの、陰毛のほうはまだ生えていませんでした。
ただ、保健の授業や同級生の話から、脇毛が生える頃にはたいてい下の毛も生えるものだと教わっていたので、しばらく見ていないの性器がどのように成長しているのかが猛烈に気になってしまったのです。
 そこで僕はその日の夜遅く、が寝ている時を狙って、こっそりとのあそこを確認してみることにしました。
 同じ部屋で寝ているの布団にそろそろと近づき、下半身にかかっている毛布をめくると、ピンク色の可愛らしいパジャマが姿を現しました。
 ……すう……すう……。
 何も知らずにすやすやと眠り続けている
その寝顔はまだ幼い女子小学生そのものでした。
 普段は僕のことを馬鹿にしている生意気なでも、こうして眠っている時だけは可愛いものです。
僕はどこか微笑ましい気持ちを抱きながら、パンツごとパジャマのズボンをゆっくりと引き下げました。
 けれど、のワレメが顔を覗かせた瞬間、僕の中にあったそんな気持ちは一瞬で消滅しました。
 ……生えて、いる……。
 ワレメの両脇を覆うように、のあそこには細く柔かな毛が生えていました。
 まだ生え始めたばかりのごく頼りない陰毛ではあったものの、それは間違いなくの体がオトナへの階段を上り始めた証でした。
 その直後、僕は猛烈な敗北感に襲われました。
 僕にはまだ生えていないオトナの毛が、にはもう生えているということ。
そのあまりにも衝撃的な光景を前に、僕の兄としてのプライドは粉々に打ち砕かれてしまいました。
 それまで僕は、心のどこかで「生えてるわけがない」とタカをくくっていたのだと思います。
脇毛はともかく、まだ小学生陰毛なんて生えてるわけがない、と。
 今にして思えば、男子に比べれば女子のほうが成長が早いのだから、の方が先に生えてきたというのもそれほど不思議なことではなかったはずなのですが、その時の僕にはとてもそんなことを冷静に考えられるだけの余裕はありませんでした。
 に先を越されてしまったという事実ばかりを目の前にして、僕はただただ呆然とその場に打ちひしがれていました。
 ……くう……くぅ……。
 そんなことは知る由もなく、口を半開きにしながらあどけない顔で眠り続けている
 その寝顔を見ていたら、僕の胸の中に怒りにも似た攻撃的な感情が沸き上がってきました。
 ……のくせに。
僕より後に生まれてきたくせに、僕より先に、勝手にオトナになりやがって。
 許せない。
 そう思いながら、僕は指先での大事なところの毛に触れました。
 タンポポの綿毛みたいなふわりとした感触。
もう少し力を入れると、今度は恥丘のぷにぷにとした柔らかさが指先に伝わってきて。
 初めて触った異性のあそこは、それまでに触ったことのある他のどんなものにも似ていない、とても不思議な感触でした。
 足を閉じた状態ではクニクニとした弾力があるのに、足を開かせた状態ではフニフニとマシュマロみたいに柔らかくなることにとても衝撃を受けたことを覚えています。
 そうしてしばらくの間、僕は夢中での下半身に悪戯を続けました。
 気がつけば、僕のあそこは痛いほど勃起していました。
 これまでを女として見たことなんて一度もなかったのに。
どうしてこんな風になってしまうんだろう。
僕は変態なんだろうか。
 まだ小学生が、誰にも見られたくないであろう生えかけのあそこを丸出しにして、すやすやと気持ちよさそうに眠り続けている。
下半身裸のそんなを見下ろしながら、僕は自分のあそこを勃起させている。
あまりの背徳感にどうにかなってしまいそうでした。
 どうしてそんなことをしようと思ったのか不思議だったけれど、僕はのパンツの中に手を突っ込んだ状態でその隣に自分の身体を横たえると、そのまま眠っているの手を掴んで、その手を僕のパンツの中へと強引に差し入れました。
 寝ているのあそこを触りながら、寝ているに自分のあそこを触らせている。
僕はいったい何をやっているんだろう。
どうしてこんな変態みたいなことをしながら、僕はびくびくとみっともなく体を震わせているのだろう。
 ふわふわとした陰毛が生えたのあそこ。
 まだ一本の毛も生えていない僕のあそこ。
 そのアンバランスな対比が、僕のチンコをどんどん堅く、大きくしていきました。
に対する嗜虐心はいつしか倒錯的な被虐心へと変わっていて、兄としてあまりにも情けないこの状況に、僕は心の底からの興奮と快感を覚えていました。
 が目を覚ましたのは、その時のことでした。
「……何、してんの……?」 呆気に取られたような表情のが、僕の顔と、僕の下半身を交互に見つめていました。
 そして、その視線が最後に自分の下半身へと向けられた時、すべてを理解したは即座に僕の股間から手を引き抜くと、そのまま勢いよく僕に背を向けてしまいました。
 やばい。
どうしよう。
どうしたら。
頭が真っ白になっていく中、何か言い訳をしなければいけないと思いながら、の顔を覗き込もうとしてみたのだけれど。
「……ひっ……ひぐっ……ぅぅ……」 は嗚咽を噛み殺しながら泣いていました。
 僕を罵倒することもせず。
悲鳴をあげることもせず。
実の兄から受けた性的行為にショックを受け、小さな体を震わせるを前に、僕は自分のしでかしてしまった事の重さを改めて理解させられてしまった。
 エロマンガみたいな展開になんてこれっぽっちも発展しませんでした。
こんなことをされてが傷つかないはずがありません。
僕は、取り返しのつかないことをしてしまったのです。
 こんな状態で何を言えるわけもなく、僕は無言のまま自分の布団に戻り、頭から毛布をひっかぶって一睡もできない夜を過ごしました。
 そして、その翌朝。
 絶対に親に告げ口をされるだろうと思って朝から気が気じゃなかったけれど、意外なことに親からのお咎めは何もありませんでした。
が黙っていてくれたのか、親が何も言わずにいたのか、そのどちらだったのかは定かではありませんが。
 ただひとつ、その日を境にはっきりと変わったのは、僕に対するの視線でした。
 は、明らかに自分より下の相手を見るような目で僕のことを見るようになりました。
 当たり前のことです。
相手はにあんなことをするような変態なんですから。
その上、僕にまだ毛が生えていないという事実まで知られてしまったのです。
 その日からは僕に対していろいろな命令をするようになりました。
僕が反抗的な言葉を返すと、はいつも「あの目」で僕を見るのです。
 ――の裸で勃起する変態のくせに。
 ――まだ生えてないガキンチョのくせに。
 の視線には、そんな無言の罵倒が含まれていました。
 精神的にも肉体的にも圧倒的に僕より優位な
それ以来、僕はに逆らうことができなくなりました。
 そんなへの鬱憤を晴らす唯一の手段として、僕はそれからも寝ているに対する悪戯を続けました。
 それから一年後、僕にもようやく陰毛が生えてきたのですが、その頃にはのあそこはもう、遠目からでもわかるくらいの翳りに包まれていました。
 柔らかな茂みに覆われたのあそこと、貧相なちぢれ毛がちょろちょろと生えている自分のあそこの成長を見比べながら、僕はの体で何度も何度もオナニーをしました。
 あれから10年が経った今でも、あの頃のことを思い出してはオナニーを続けています。
 情けない兄だと思います。
こんな僕をどうか蔑んでください