つづき家に帰った後もの痴態が頭から離れなかった。
しんとした寝室で一人横になると不安が雪崩のように押し寄せてくる。
腋全開のとニヤついた男達の顔を追い払おうと必死になって首を振る。
はきっと大丈夫だ。
ママも断言していたじゃないか。
「ここはセクキャバみたいな下品な店じゃないから大丈夫よ!」と。
固く目をつむり、一生懸命寝ようとするが、寝れるもんじゃない。
少し気を緩めただけでも無防備な腋を舐められて喘ぐの姿が鮮烈に蘇ってくる。
舐めていたのは高橋社長だったはずなのに、いつのまにか、その顔が田近に代わり、そのうち藤田、石田など学生時代の友人に代わっていった。
自分ががおかしくなってしまいそうで、どうにもならず、ウイスキーの角瓶を掴んで一気に飲み干した。
朝起きると枕元にある目覚まし時計のアラームを消した。
ウイスキーのせいだろうか、設定よりもかなり早く目が覚めていた。
良く眠れたものだなと自分でも感心した。
ベッドの隣にはの菜緒が横になっていた。
昨夜、男に胸を揉まれ、腋の下まで舐めさせていた女がこうも穏やかな寝顔で良いのだろうか?とも一瞬だけ思ったが全ては”俺のせい”、”俺のため”か、と自嘲した。
菜緒は掛布団にくるまり、横を向きながら眠っていた。
鼻筋が通り、まつ毛が長い。
肌は白磁のように滑らかで、とうに30歳を超え出産までしている女とは思えない程、全身に張りがあった。
俺はの掛布団を無理やり剥いで、背中から腰までの柔らかくも、優雅な体の線を眺めながら、の身体をまさぐった。
を撫で回し、太ももの間に手を潜り込ませて強引に股間をさすった。
「え?、あ、あなた、どうしたの?」の眠たげな表情を見た瞬間、心が冷えてくるのを感じた。
俺の頭の中ではバンザイしていた。
整った顔を恥ずかしげに赤らめて”どうぞ好きにして下さい”と言わんばかりに両手を上げてワンピースのチャックを下ろされていた。
吐きそうになった。
一晩明けたというのにの痴態は、瞼にこびり付いて離れてはくれなかった。
「い、いや何でもない。起して悪かったな。」やっとの思いで言葉を絞りだして、洗面所に逃げこんだ。
その日、俺は内定を貰った。
1年以上もの間、待ち焦がれた内定だった。
年収は以前と同じしかも、無職の俺を気遣ってか、翌日から働いても良いという。
給与は当月締め25日払い。
すぐに給与を貰うことができる。
配属先は、大企業で営業をしていた知識が欲しいということで経営企画部という社長直轄の部署になった。
何から何まで驚くべき好待遇だった。
内定の報告をするとは飛び上がって喜んでくれた。
娘まで「パパおめでとう」とほっぺにチュッとしてくれた。
昨夜ののことを考えると胸にわだかまりがないわけではないが、内定は非常に嬉しかった。
仕事に慣れてきたら旅行にでも行こう!などと盛りあがりながら家族でテーブルを囲んだ。
楽しい晩餐が終わると直ぐに、は「仕事、今日で辞めてくる」と言って最後の仕事に出て行った。
の帰りを起きて待っているつもりだったが、いつの間にか眠ってしまった。
目が覚めて時計を見ると、2時を回っていた。
普段だったら、とっくに帰っている時間だった。
ふいに腋を全開にさせた無防備なが頭に浮んだ。
とても不安になった。
俺は深夜で非常識だとは思ったが田近に電話することにした。
何コールも鳴らして諦めかけたころ、やっと田近は電話に出た。
「何、おまえまだ起きてたの?」田近は、こんな時間まで起きていたようだった。
「ごめん、こんな夜遅くに」「別にいいよ、びんびんに起きてたからw」「菜緒がまだ帰ってきてなくて・・・」「そりゃ、そうだろなw」「え?」「あ、いや、店に出てるんだから当然だろって意味だよ。」なんだか、しっくりこない言い方だった。
「いつもは、とっくに帰ってきてる時間なんだよ」「そっか。じゃあ、そろそろ帰ってくるんじゃないか。」田近とはそんなやり取りをして電話を切った。
それから30分もするとは無事に帰ってきた。
特別おかしい様子もなく、俺は、その日の朝が初出社だったためすぐに寝た。
初出社は緊張した。
特に高橋社長と顔を合せるのは気まずかったが、はもう2度と夜の仕事に行くことはないのだから、あの晩のことは割り切って、仕事を一生懸命頑張ろうと考えた。
一通り挨拶を済ませると、同じ部署の小夜子さんというパートのおばちゃんから、いきなり外線電話に出るよう言われた。
どうやら、このパートのおばちゃんが俺の指導係的な役割になるようだ。
会社の顔とも言える外線電話に、何も分からない自分が出ても良いものかと戸惑ったが言われた通りにした。
電話に出る度に、おばちゃんから、細かい指摘をされるのがウザかった。
あっと言う間に12時になり、皆さん昼食はどうするのかな?とキョロキョロしていると見覚えのある顔に声を掛けられた。
”例の晩”の席に高橋と一緒にいた二人の男のうちの一人、柳だった。
柳がの肩を抱いていた場面を思い出し、複雑な気持ちになった。
しかし、あの晩のことは既に割り切ると決めていたし、初日から昼食を一人で取るのも侘しかったため、柳の誘いに乗って昼食を共にした。
昼食は柳の他に2人の男と一緒に取った。
俺のことを気にしてくれたのか、俺でも会話に参加しやすい話題ではあったが・・・。
「小夜子さん、40近いけど、いい身体してるでしょ?」「そうそう。あのロケット揉みまくりたいね?」「ムチムチしたもたまんねえ。」席について第一声がこれだった。
他の皆さんも非常に食いつきが良かった。
この会社の民度の低さに少し呆れながら昼食を取った。
特別トラブルもなく、久しぶりの仕事は無事に終わった。
途中、コピーを取ってる時に後ろへ下がったら、すぐ後ろで俺の様子を見ていた小夜子さんのおっぱいに肘が当たるアクシデントがあったが、それは詳しく書き留めることもないだろう。
その後も、俺は雑用をしながら会社の業務を覚えていった。
途中、小夜子さんに誘われ飲みに行って、ひたすら愚痴られるなんてイベントもあったが、なんだかんだで入社して1か月程が経った。
この頃になると、無職になって疎遠にしていた友人とも連絡を取りたくなってくる。
久しぶりに友人と飲んだのだが、この時、とても嫌な話を耳にした。
「あくまで噂だからな。聞いてしまった限りは、お前に黙ってるわけにもいかんので、言うけど、 あまり気にするなよ。」そう前置きを言ってから、そいつは話し始めた。
「藤田が菜緒ちゃんと寝たって言ってるらしい。」「え?」「あいつ、昔から菜緒ちゃんにゾッコンだったろ?まあ、あいつだけじゃないけどな。 で、長年の念願かなって、菜緒ちゃんと、やりまくったって、あちこちで自慢してるらしい。」「・・・」「で、続きはまだある。気を悪くするなよ。俺の所にも話が回って来た。 菜緒ちゃんとやりたいなら、田近に連絡すれば、やらせて貰えるみたいな・・ 田近も相当、菜緒ちゃんに惚れていたよな・・・」あの晩の悪夢が蘇った。
俺はバンザイしている菜緒を追い払おうと必死になりながら質問した。
「それって、最後までなのか?、いや、胸を触らせるとか、腋を・・とか、までじゃなくて?」「真実かどうかは知らんが、真昼間から打ちまくったって話だから、最後までじゃないかな・・・」俺は胸が締め付けられるような苦しみを覚えながら、菜緒に確認しようと急いで帰宅した。
家に帰ると、菜緒は居た。
普通に居た。
「あれ?早かったわね。夕ご飯、余ってるから食べる?」などと聞いてくる。
俺は、を目の前にして、どうしても言い出すことができなかった。
結局、に確認もせずに、悶々としたまま夜が明けた。
翌日、ちょうど小夜子さんが午後休だった。
まだ新人の俺は普段、席を離れることなどなかったが小夜子さんが居ない時間を利用しない手はないと、考え、携帯片手に外に出た。
家に電話を掛けた。
が家にいる時間帯だった。
出てくれ、頼む!と願ったが出てはくれなかった。
続いて、の携帯に掛けようとしたが、思い直して、田近の携帯に電話した。
仕事真っ最中の時間帯だが、構うことはないと思った。
何コールも鳴らして、やっと田近は電話に出た。
「何だよ、どうした?」少し慌てている様子だった。
「菜緒のこと聞いたよ。どういうことだ?」俺は、かまを掛けてみようとしたのだが・・。
少しの沈黙が流れた後、田近は不敵に笑った。
「ん?なんのことだ?w  ああ、もういいや面倒くせ。菜緒ちゃんには内緒にしろよ。」そう言ったきり耳元が無音になった。
田近は何か操作をしているようだった。
しばらくして音が聞こえた。
それは「あん、あん、あん、あぁん」リズミカルな喘ぎ声だった。
「あん、ああぁぁん、ああ、あん、あん」突然地面がゆがんで、倒れそうになった。
間違うことのないの声だった。
「どういうことだよ!、おい!、どうゆうことだ!」「どうゆうことって、そういうことだろw」「おまえ!」「今まで、いろんな女を抱いたけど、やっぱ思い入れた女は別格だな。 あの菜緒に自分から股広げさせた時は、人生で一番興奮したよ。 大っきな目を潤ませて、佳一さん入れてっ俺の目を見ながら言わせたよ。 何処に?って聞いたら、広げたを」「うるさい!黙れ!今、何処にいる?会社か?」「お前とずっと一緒だった割には、あまり使い込んでないのなw  けつの穴なんか、オチョボ口みたいで、藤田が「か、可憐だ」って感動してたぞw」「いいから場所を教えろ!」「か細い菜緒が、あのデブに抱かれてると、まるで肉に埋もれてるみたいでさぁ」「田近あああぁぁ!」「場所教えてやるから、興奮するなよw  通称:ヤリ部屋なw 高級家具揃えてあるから、物に当たるなよ。自分の甲斐性の無さに当たれw オートロックじゃないから、そのまま入れるぞ。」俺は電話を切ると直ぐに駆け出した。
部屋はすぐに分かった。
玄関のドアは施錠していなかった。
部屋に入って、目に飛び込んできたものは・・・猫だった。
テーブルの上で猫がのびをしていた。
涙で視界が霞んだ。
俺のは、菜緒は、素っ裸で猫の様にを突き出して伸びをしていた。
そのの前で、男が二人、顔をひしめき合って覗きこんでた。
「すげえ、あの奈緒が本当に丸出しになったよ」一人が臀丘を割り開いて、その下の方にある肉の合わせ目を撫でていた。
二人とも、よく知ってる男だった。