「何だおまえら! 結婚前の約束どおり、俺は車以外はすべてやっただろ!これ以上何を俺から奪おうというんだ!」元嫁のキャシーと、女弁護士のヘラに向かって男が吠える。
女弁護士は、一枚の契約書を取り出して淡々と語る。
「契約書の内容は覚えておりませんか?確かに、結婚前の契約書どおり、こちらのキャシーさんは車を除くすべての財産をいただきました。しかし、まだ1つ残ってるんです。こちらに書いてあるでしょう?」「……ああ、そういえばそんなのあったか。馬鹿か。こんなのジョークに決まってるだろ!」「契約書に書いてある以上、それを決めるのはあなたではありません」ヘラの指差す契約書の、離婚時にキャシーが所有する財産の項目の末尾には、こう書かれてあった。続きを読む